2016年8月21日日曜日

故宮博物院90周年・2つの故宮めぐり(北京編その3~最終回)

平成27年9月22日(火)

さて、いよいよ今日は故宮博物院。
さすがに一大観光名所だけあって朝から多くの観光客が来ている。


故宮の中は広く、見どころもたくさんあるが、めざすは書画を展示している武英殿。
そして張択端「清明上河図」。

武英殿に向かう途中にこんな看板があった。
「爆満」という文字が見える。
中国の至宝「清明上河図」を目あてに来る人がたくさんいるのだろう。


今日は長丁場になるのは覚悟していたので、朝食はしっかり食べた。
宿泊したハワードジョンソンパラゴンホテルは朝食も充実していて、朝食会場も建物の中庭を利用した吹き抜けになっているので開放感がある。


翌日は早朝出発で朝食を食べている時間がないので、この日が最初で最後の朝食。
料理もおいしいし、1日だけというのはもったいない。
焼きそばが特に美味。


張択端「清明上河図」は、香港や上海で展示された時は待ち時間3~4時間と聞いていた。そして、2012年に東京国立博物館に展示された時は90分待って見ることができた。今回も3時間くらいは待つかなと思いながら列に並んだ。

林の向こうに並ぶ人たちがかすかに見える。


列に並んだのは午前10時過ぎぐらいだった。
1時間ほど経過して武英殿の門まで並ぶ列の3分の1ほど進んだので、これなら3時間で入れるか
なと思っていたが、そこから先が長かった。
結局、武英殿の門の近くまで来たのがなんと午後4時過ぎ。
その間、交代でトイレに行ったり、前の日に買ったパンを立ったままかじったりして、ひたすら待ち続けた。
途中、ワゴンで図録を売っていたので、それを買って、パラパラ見たりもしていた。



ようやく門の中に入ったのが午後5時過ぎ。本来なら故宮博物院閉館の時間だ。
それでも5時までに並んだ人は中に入ることができるということなのだろうか。
そもそも今日は何時まで開館しているのだろうか。入口の看板や公式サイトには何も書いていないし、中国語が喋れないので周りの人にも聞くわけにもいかなかった。

そのうちに列に割り込もうとした人と、並んでいる人たちとの口論や、割り込みをきちんと止めない係員への怒声とそれにやり返す係員の怒声が入り交り、一時あたりは騒然となった。
こんなのに時間をとって、せっかくここまで並んだのに入れなかったらどうしようと不安になったが、前の方で並んでいる若い女の子たちのグループは、その騒ぎを見ながら「しょうがないわね」という感じくすくす笑っていた。

不安げに時計を見たりしていたら、隣に並んでいた若い男性が英語で話しかけてきた。
私が「絵を見ることはできるのでしょうか。」と聞くと、「大丈夫です。今日は夜10時まで開館しています。」と言う。
私は「そうですか。これで安心しました。」といってお礼を言った。
親切な人が隣にいて本当に良かった。

中に入ってからも、列からはみ出しそうになったら、「こちらに並んでも見ることができますよ」と中国人女性が日本語で教えてくれた。海外で困ったときに親切に声をかけてくれるととてもうれしい。

他にも館内で並んでいると、やたら親しげに中国語で話しかけてくる若者がいたので、申し訳なさそうにつたない中国語で「私は日本人です。」と伝えたら、「そうか日本人か。」と言いながら、それでも終始ニコニコして話しかけてきた。
きっといい人なのだろう。カタコトでも中国語ができれば会話もできただろうにと思う。

さて、武英殿の門の中には入ったが、ここから武英殿の建物までさらに長い列があった。
どうやら中の混雑を避けるために、入口で入場制限をしているようだ。



ようやく建物の入口の前まで来たとき、今まで何ともなかった空一面に黒い雲が広がり、稲光がして大粒の雨が激しく降ってきた。
私たちはすでに建物の庇の下まで来ていたので雨に濡れなかったが、後ろに並んでいる人たちは係員の誘導で建物の庇の下に移動した。

そしてようやく建物の中に入ったのが午後6時。待つこと8時間!
武英殿は清代に建てられた建物で、内装はそのまま残してガラスケースの中に美術品が展示されている。さきほどの黒い雲と雷雨のせいで、まるで時空を超えて清代にタイムスリップしたような感覚になった。

中に入っても押すな押すなの状態で、「清明上河図」にはなかなかたどり着けず、たどり着いても人に押されてゆっくりと見れる状況ではなかったが、それでもとりあえず「清明上河図」を見るという今回の旅行の目的を達成することができた。

武英殿には他にも宋、元、明の山水画など中国絵画の名品の数々が展示されているので、それだけでも十分見ごたえはある。それでも他の作品を見ている人はあまり多くない。
どうやら「清明上河図」だけ見たら満足して帰る人が多いようだ。
おかげで、こんなに素晴らしい展示をゆったりと見ることができた。

(館内は撮影禁止なので、作品の素晴らしさが伝えられないのは残念)

他の作品を見終わって「清明上河図」の列を見てみると、並んでいる人も随分と少なくなってきたのでもう一度並ぶことにした。
結局、2回並び、心ゆくまでじっくりと「清明上河図」を味わうことができた。

そのあとは武英殿の敷地内にある左右両方の建物内の展示も見て、すっかり満足して故宮博物院を出た。時間は8時過ぎになっていた。雨はもうすっかり止んでいた。
そして夜間だけ特別に開いていた門を出て、故宮沿いに地下鉄の駅まで向かっていたら、しきりに中国語で話しかけてきた若者が私たちの前を小走りに人ごみの中に入って行くのが見えた。
あいかわらず楽しそうな感じだった。この時間になったということは、「清明上河図」だけ見てすぐに帰るのでなく、中国書画をじっくり見ていたということなのだろう。

ホテルに戻り、近くのスーパーで買ったパンとビールと干しブドウで軽い晩酌。




翌日は朝5時半にホテルを出て、8時45分発のチャイナエアで北京を発ち、約3時間のフライトで羽田空港に到着した。

東京から片道3時間飛んだだけで入り込んだ全くの異次元空間。
まるで夢を見ていたような3日間だった。
(北京編おわり)










2016年7月19日火曜日

故宮博物院90周年・2つの故宮めぐり(北京編その2)

平成27年9月21日(月)続き

このあたりは什刹海とよばれ、北京の古い街並みの面影が残されている地区。
にぎわいのある飲食店街を過ぎていくと、胡同(=路地、横丁といった意味)が縦横に張り巡らさせたディープな住宅街に入って行く。



こちらは東西南北にある四つの家が向かい合っている「四合院」。
現在は一般に公開されていて入場料は20元。


そのまま博物館に展示できそうなほど素晴らしい調度品も内装も昔のまま保存されている。



什刹海地区からさらに南に向かうと広大な北海公園がある(入場料10元)。
遠くに北海に浮かぶ白塔をのぞむ。



これが清の乾隆帝の時代に作られた九龍壁。


アップで見るとこの迫力。


夕闇も迫ってきたので、ここで市内観光を切り上げ、地下鉄で北京駅まで戻ることにした。

夕食も昼と同じくフードコートで野菜や大豆製品中心のメニューを注文。
ビールは近くのローソンで調達した。





ほどよい疲れと、ビールの酔いで北京の夜は心地よく更けていった。
いよいよ明日は念願の故宮博物院。
(次回に続く)

2016年6月25日土曜日

故宮博物院90周年・2つの故宮めぐり(北京編その1)

昨年は7月の台北故宮博物院に続いて、9月には北京の故宮博物院に行ってきました。
北京故宮の一番の目的は何といってもこの時期限定で武英殿に展示されている張択端の「清明上河図」。

今回の旅行の行程は全部で3日間。
初日は午後に北京に着いて半日は市内散歩、2日目に故宮博物館でじっくり時間をとって、3日目は早朝便で日本に帰るという駆け足の旅でしたが、お目当ての「清明上河図」をじっくり見ることができてとても充実した旅行でした。


平成27年9月21日(月)

北京空港に降り立ち、入国検査を済ませて出口に向かうと、通路の横に見覚えのある絵が。
3年前に東京国立博物館で開催された「北京故宮博物院200選」で展示されていた張択端の「清明上河図」の大きな複製ではないか。
中国らしく、見事な木彫りの彫刻で飾られた大きな額に収まっている。


近くで見てみると、細部までよく描かれているのがわかる。この場面は「清明上河図」のクライマックスの虹橋。


空港からホテルに向かい、チェックインをすると、お昼ご飯にちょうどいい時間。

宿泊したハワードジョンソンパラゴンホテル北京は北京駅のすぐ近くにある。
ホテルの地下から地下のレストラン街につながる通路を通って行くと、ちょうどいい具合にフードコートがあった。



例によって身振り手振りで、野菜と大豆製品中心のメニューを注文して、まずは胃袋から中国旅行に浸ることにした。このボリュームで値段は12元(約240円)。





昼食の後は、故宮のすぐ北から西北に隣接する古い北京の街並みが残されているあたりを散歩した。

まずは故宮の真北に位置する、元の時代(1272年)に創建された鼓楼。かつては太鼓で時を知らせていた。




鼓楼の正面に位置しているのが、明代の永楽帝時代(1420年)に創建され、清の乾隆帝時代(1747年)に再建された鐘楼。


続いて鐘楼の向かい近くに入口のある、名前からしてあやしげで何となく興味をそそる北京烟袋斜街に入って行った。



通りの名前は、清末にキセルなどを売っていたことに由来しているようで、斜街というだけあって、通りは曲がりくねっている。


入口の門のすぐ近くにある旧家の内装を改装したカフェ。思わず入ってみたくなる。



こちらはお寺の入口。

入って正面と左右両側の建物の中では、ちょうど展覧会が開催されていて、入口の看板に描かれているような昔の中国の日常生活を描いた小品がいくつも展示されていた。


通りを抜けると、急に視界が広がり、池には遊覧ボートが浮かんでいる。



池の周囲は旧家を活かした飲食店がずらりと並び、店員さんたちは開店の準備に大忙しだ。




(次回に続く)



2016年5月30日月曜日

故宮博物院90周年・2つの故宮めぐり(台北編その4~最終回)

平成27年7月4日(土)

前の日に総統府の前を通ったら、7月4日が毎月一回の一般公開日にあたっていることがわかった。
台北(桃園)発が14時40分の飛行機で、午前中は少し時間の余裕があったので、これも何かの縁だと思い、最終日は総統府見学に行くことにした。



総統府に着いたら、入口前にはすでに親子連れなどの長蛇の列。ものすごい人気だ。
それでも流れは良くて、ほどなくして入場できた。入口では背の高い、きりっとした若い憲兵さんたちがてきぱきと差し出された身分証明書をチェックしている。
私たちの番になり、日本のパスポートを見せると、日本語であいさつしてくれた。とても親切な憲兵さんたちだ。

館内では20人から30人のグループになって年配の男性ガイドさんが館内を案内してくれる(案内は中国語)。

正面から入り、階段を上ると、突き当りには建国の父・孫文の胸像があり、さらに2階に上がり、案内されたのは孫文の霊廟、大禮堂。



そして1階は資料室になっていて、中華民国の歴史がパネル展示されている。
写真は台湾の日本への割譲が決まった下関条約の交渉場面。奥の中央が日本の全権、伊藤博文、手前は清国の全権、李鴻章だろうか。

帰りの時間も近づいてきたので、ホテルに戻り、身支度をしてホテルのロビーでお迎えのバスを待った。
迎えに来たマイクロバスは台北(桃園)空港に行く途中、お決まりのパターンではあるが、土産物店に寄った。知り合いに配るおみやげは空港で買おうかと思っていたが、ちょうどいいのがあったので、この店で買うことにした。

これがこの土産物店で買った鳳梨餅。英語表記はPineapple Cracker。
お店の女性は1箱に30袋入っていると言っていたが、家に帰って数えてみたら40個も入っていた。何ともお得。



これはこの店に飾られていた巨大な翠玉白菜(翠(=みどり)ではないので、白玉白菜か)。



わずか3日間の台北旅行であったが、台北の街の居心地の良さも、台北故宮博物院の所蔵品の充実ぶりも実感できた3日間だった。
それに日本から近いというのも何ともありがたい。フライトは楽だし、移動時間が短い分、現地での時間も有効に使うことができる。
近いうちに台北故宮博物院の特別展の企画に合わせてまたふらりと来てみたい、そう考えながら帰りの飛行機に乗り込んだ。
(台北編おわり)

飛び出す総統府のパンフレットは前回紹介した私のホームページでも紹介しているので、ぜひご覧になってください。
  ↓

ttp://hwm8.spaaqs.ne.jp/yamaguchi-25/2707taipeikokyu.html

2016年4月30日土曜日

故宮博物院90周年・2つの故宮めぐり(台北編その3)

平成27年7月3日(金)続き

ホテル近くの地下鉄・淡水線圓山駅から二つめの士林駅で降りて、そこからバスに乗って行くと緑に囲まれた故宮博物院が見えてくる。


到着したのは17時30分。いつもなら18時30分に閉館するが、金曜日と土曜日は21時まで開館しているので時間はたっぷりとれる。

それにしても展示品の充実ぶりがすごい。

日本軍の侵攻を前に、国民党政府が陶磁器、絵画など選りすぐった文物を上海や南京などに避難させ、さらに共産党軍に追われて台湾までたどり着いた第一級ばかりだ。

来日して人気だった翠玉白菜も肉形石もある。
日本では行列だったが、ここでは夕方に入館したので、狙い通りで人も少なくてゆったり見ることができたのもよかった。

それにしても陶磁器や青磁など、よくも割れずに海を渡って持ってこれたものだと思う。

ちなみに台北故宮博物院の館内は撮影できないので、館内の様子が紹介できないのは残念。
ということで、詳しくは國立故宮博物院の公式HPをご参照ください。

http://www.npm.gov.tw/ja/Article.aspx


この時期を選んだのは、創設90周年を記念して開催された特別展「典範と流伝-范寛とその継承者たち」で、北宋時代の山水画の大家・范寛の唯一の真作とされる「谿山行旅図」が展示されていたからである。

そのことは私のHPの「今月のコレクションボックス」平成27年7月号で紹介しているので、ぜひご覧になってください。

http://hwm8.spaaqs.ne.jp/yamaguchi-25/2707taipeikokyu.html


さて、歴代中国皇帝の文物を見たあとは、再び士林駅まで戻って夕食。
駅周辺をきょろきょろしていたら、やっぱりあった。
台湾素食の店だ。




注文したのは野菜あんかけ飯。ここもご飯は五穀米なのがうれしい。
すっかり台湾素食にはまってしまった。





夕食後は、士林市場やレンガ造りの士林市場の中を散策。

淡水線の高架の下まで出て、士林駅の次の劒潭駅まで歩いて、地下鉄に一駅乗ってホテルに戻った。
もちろん途中のコンビニでビールを買い込んで部屋飲みをした。


(次回に続く)

2016年3月20日日曜日

故宮博物院90周年・2つの故宮めぐり(台北編その2)

平成27年7月3日(金)
宿泊したホテル・帝后大飯店の位置を地図で確認すると、市の中心の北の方にあって、少し北上すると緑の多い花博公園がある。
そこで、朝食前に公園内を少し散策することにした。
それにしても蒸し暑い。梅雨がまだ開けていない横浜とちがって、ここ台北はもう真夏。
セミの大合唱がとてもにぎやか。

立派なガジュマルの樹

ホテルに戻って朝食。
口コミでは朝食がしょぼいので、外で食べたといった書き込みがあったが、とんでもない。
お粥、みそ汁、青菜の炒め物、豆腐などヘルシーで充実した朝食だった。
部屋も広くてきれいで、次に台北に来た時も泊まりたいくらい。



さて、最初の観光は市の南西部にある龍山寺(ロンサンスー)。
龍山寺は、清の乾隆帝時代の1740年に完成し、1945年に米軍の空襲で損害を受けて、現在の伽藍は1953年に再建修復されたもの。
本殿の装飾も石柱の彫刻も素晴らしい。








私たちも地元の参拝者にならって、三本の長い線香とお盛ものを売店で買い、さてどうやってお参りしようかときょろきょろあたりを見渡していたら、お寺の清掃係の若いお兄さんが、日本から来た観光客と気が付いてくれて、「一本目の線香はここ、二本目の線香はここ、三本目の線香はここ」と、私の持っていた龍山寺の案内パンフレットの境内地図を指差しながら日本語で香炉の位置やお参りのやり方を教えてくれた。

親切なお兄さんのおかげで無事、台湾式のお参りをしたあとは、東に向かって少し歩き、清末から日本統治時代の雰囲気が再現された街並みの●皮寮歴史街區(●はヘンが彔でツクリが刂)。
通りの建物はほとんど空家で、これからお店などが入るための改装をしているものもあった。
改装後に来てみると、賑わいがあっておもしろいかもしれない。

このあとは國軍歴史文物館の前を通り、建物の外に展示されていたドイツ製の魚雷を見たり、総統府の裏手を通ったりしたあと、地下鉄の西門駅から台北駅に向かった。


総統府の入口には毎月一回の一般開放日が掲載されていて、よく見ると7月は翌日(4日)になっている!明日は日本に帰る日だが、午前中に行かなくては。


お昼もやはり台湾素食。
台北駅の駅ビル「微風台北車站(Breeze Taipei Station)」にあるチェーン店の「明徳素食園」。
ここはバイキング形式で、盛り切り一皿に五穀米ご飯(大)とスープがついて124元(約500円)。
料理の種類が多くて、どれを食べようか選ぶのに苦労した。




ここで食後の休憩を兼てホテルにもどってシャワーを浴びて、少し休んだあと、今回の旅行のメインテーマである國立故宮博物院に向かった。
(次回に続く)



2016年2月14日日曜日

故宮博物院90周年・2つの故宮めぐり(台北編その1)

昨年(2015年)は故宮博物院が創設されて90年の記念すべき年。
台北と北京のそれぞれの故宮博物院で特別展が開催されていたので、昨年夏、2つの故宮博物院に行ってきました。
少し時間が経ちましたが、今月から「故宮博物院90周年・2つの故宮めぐり」を連載します。
まずは7月2日から4日にかけて行った台北の國立故宮博物院から始めます。

その前に一言。
2月6日朝、台湾南部を襲った地震で被災されたみなさまに心よりお見舞い申し上げるとともに、被災地の一刻も早い復興をお祈り申し上げます。

平成27年7月2日(木)台北

この日は成田空港発14時30分というゆっくりめの出発。
チャイナエアラインに乗って台北(桃園)空港に到着したのは17時過ぎで、それから市街地まで小1時間バスに乗り、ホテルに着いたのは18時を回っていた。



参加したツアーは、午後出発、夜帰着の台北フリー3日間。
初日は着いて夕食を食べて寝るだけ、二日目に市内を散歩してから夕方に故宮博物院に行って夜までいて、最終日は時間の許す限り市内観光といったおおまかなスケジュールを考えていた。

さて、今日の夕食は何を食べようか。
ホテルの部屋にザックを置いて、台湾素食の店を探しに出かけることにした。なぜ台湾素食かというと、出発前にガイドブックを見ていたら台湾には菜食主義の人が多くいて、素食の店が街じゅうにあると書いてあったので、今回の旅行では台湾素食に挑戦することに決めていたからだ。

泊まったホテルは日本人観光客ご用達の帝后大飯店(エンプレス)。
フロントの人たちも日本語が喋れるので、中国語がほとんどできない私としては心強い。
どの方向に行くと飲食店街があるかフロントの人に聞いて外に出た。

少し歩くといきなりアジアらしい光景が見えてきた。
道の中央に屋台が並ぶ夜市である。

飛行機に乗ればわずか4時間足らず。こんな近くなのに台湾に来るのは今回が初めて。
ひとつ街角を横切ると日本とは全く違うアジアがある。いきなりのアジアの熱気の歓迎にうれしくなってしまう。

雙城街夜市



雙城街夜市のにぎわいを通り過ぎて角を曲がると、あった!「素食」の看板だ。
中に入るとこんなにたくさんの種類の料理がずらりと並んでいて、一皿盛り切りで69元(約280円)。これにみそ汁と五穀米ごはんがつくから驚くほどお手頃な値段だ。


肉のように見えるものあるが、すべて野菜や大豆製品。どれも味がしっかりしていて美味しい。 

店の中の風景。テレビでは僧侶の説教がずっと流れていた。

お店の名前は「明心素食」。私たちはどうやら閉店前にすべりこんだ最後の客だったようで、私たちが精算をして店を出ると、店主ご夫婦は夕食を食べ始めた。
素食は日本の精進料理と同じで仏教と関係が深いのだろうか。このご夫婦はとても信心深いお方のようで、料理の並んでいる台の壁にはかわいいお坊さんの絵が貼ってあったし、テレビで流れていたのは僧侶の説教だったし、店名の両側にはお寺の印がしっかり書かれている。

あとでわかったことだが、台湾素食の店は閉まるのが早い。夜の8時には閉まり、アルコールも提供しない。
夜とはいえ、すでに真夏のような暑さで、喉も乾いたので、帰りがけにファミリーマートで台湾ビールを買って、シャワーを浴びてから、部屋飲みをした。台北の夜に乾杯。