2013年8月27日火曜日

トーハク(東京国立博物館)で週末アジア紀行

先週の土曜日(8月24日)、トーハク(東京国立博物館)で開催中の特別展「和様の書」を見に行ってきました。

どちらかというと「書」より「画」の方が好きなので、最初は行こうかどうか迷っていたくらいでしたが、7月に一度行って、「書」が書かれている和紙の色合いや摺り込まれている文様の美しさ、「書」と「画」のコラボの絶妙さに圧倒されてしまいました。
それに、展示替えもあるし、後半は私の好きな長谷川等伯の「檜原図屏風」も出品されているとあって、「これは行くしかない」と思い、また上野の森までやってました。

特別展「和様の書」は9月8日(土)までです。
あと2週間しかありません。まだの方はお早めに。

(この半券があれば、9月10日から29日まで総合文化展(平常展示)が半額になるので大事にとっておきます)

トーハクのおもしろさは特別展だけではありません。
本館で、仏像や日本画を見るのも大きな楽しみです。
9月8日までは、1階の11室で神奈川・曹源寺蔵の十二神将立像(重要文化財)がお出迎えしてくれます。
この十二神将立像は、平成24年に新しく指定された国宝・重要文化財が去年のゴールデンウィークに展示されていたとき以来で、正面中央のネズミ年の神将は、目の上に手をかざして、「おっ、また来たな」と言ってくれているようでした。

2階3室「禅と水墨画」のコーナーには、伝雪舟等楊の「四季花鳥図屏風」。
1月恒例の「秋冬山水図」といい、雪舟の絵がさりげなく展示されているのはさすがトーハク。

2階7室「屏風と襖絵」のコーナーには宗達派の「扇面散屏風」。
その名のとおり、様々な意匠の扇がきれいに乱れ飛んでいます。
 

そして今年からの大きな楽しみは1月2日にリニューアル・オープンした東洋館。
案内パンフレットにあるように、東洋館はユーラシアからエジプトまで訪れることができる「旅するギャラリー」です。

地下のクメールの彫刻群。


夏の暑い時期にアンコール遺跡を見にカンボジアに行ったのですが、作品を眺めながら、その時のことを思い出しました。
特に印象的だったのは、夕立のあとのすがすがしさでした。
昼間は日差しが強く、蒸し暑いのですが、夕方ごろからにわかに黒い雲が空をおおい、急に強い雨が降ってきます。それでも夕立は長く続かず、そのうちに雨がやむと、湿気がスーッとぬけて、爽やかな風が流れてきます。
雨が降ったらよけいに蒸してくる都心に住んでいると、アジアの爽やかな夕暮れが懐かしく思われます。

次はかなり飛んでエジプト。
今は政変で混乱していて、観光どころではないのが残念ですが、やはり以前、エジプトに行った時のことを思い出しました。

手前はパシェリエンプタハのミイラ、奥の2体はセクメト女神像。ここからのアングルは、まるでカイロ博物館。しばしたたずんでいました。

 こちらは中国の石刻画芸術のコーナー。
 



右下の絵は、宴が盛り上がり、みんなが踊っている中、踊っている人が「いっしょに踊りましょう」と座って酒を飲んでいる人を誘うのですが、恥ずかしがって嫌がっている場面です。
こういう人、昔の中国にもいたんですね。


そして、私のお気に入りのコーナー「中国の絵画」。


この部屋は特に好きで、1月2日のオープン以来、すべての企画を見にきています。
現在開催中の「市河米庵コレクション」(8月6日~9月23日)も展示替えがあるので、後半にもう一回来るつもりです。
それに、10月1日からの「特別展 上海博物館 中国絵画の至宝」も楽しみにしています。
 
最後に、エントランスから見える優しいお顔の菩薩さん。

一度、閉館の時間までいたら、ちょうど入口のシャッターが閉まるところで、シャッターの後ろに菩薩さんの姿が隠れるのを見るのは何となくさびしさを感じましたが、「また来てね」と言って手を振ってくれているようでもありました。



帰りにJR上野駅から横浜方面に向かう京浜東北に乗って、空いている席に座ると、足がじわーっとほぐれるのを感じました。
「今日もいい旅をして、よく歩いたな」と心地よい疲れを感じながら、いつの間にかうとうとしてしまいました。
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