2014年4月27日日曜日

『超絶技巧!明治工芸の粋─村田コレクション一挙公開─』内覧会レポート

 
様々なジャンルにおける、最高のクオリティーの明治時代の工芸品約160点が揃う
「超絶技巧!明治工芸の粋」展が、いま三井記念美術館(東京都中央区)で開かれています。

 
これは展覧会入口風景。 三井記念美術館のレトロでゴージャスな雰囲気と、明治工芸の絢爛豪華な美しさがベストマッチ!

明治時代、日本は先進諸外国から新しい技術を導入するため、外貨の獲得が急務となっていましたが、工業製品を持たない当時の日本にとって、蒔絵や金工、陶磁器、七宝などの工芸品は輸出の最有力商品だったのですね~。
 
ですから、こうした作品の多くは、長らく海外のコレクターが所蔵していたのですが、清水三年坂美術館の館長、村田理如氏は、四半世紀ほど前に明治の美術品の素晴らしさに魅せられて、収集を始めたそうです(詳細は清水三年坂美術館ホームページをご覧ください)。
 
 今回は展覧会を監修した明治学院大学教授の山下裕二先生と、展示品のコレクターである村田氏も特別ゲストとして参加してくださいました。お二人の解説と楽しいトークを交えながら、鑑賞会が始まります。
 
 
世界中のコレクターを魅了してきた「明治のクールジャパン」は精緻極まる名品ぞろい。
 
それでは、いつくか作品をご紹介します。

展示順ではありませんのでご了承ください。
 
薩摩 花見図花瓶  錦光山
桜吹雪の中、花見を楽しむ人々が描かれています。
 
  
 
刺繍絵画   孔雀図屏風 無銘(西村總左衛門、千總)
さまざまな色に染められた絹糸を用いて一針一針刺繍を施した精緻な絵画作品です。
ただ残念な事に紫外線による退色などで、よい状態で現存する作品はごく僅かだそうです。
 
絹糸の持つ独特の輝きは絵具で描いた絵画とは全く異なり、その豪華さに圧倒されます! 

 
金工 花鳥図香炉 鹿島一谷 二代 
振り返りながら吼えているような獅子がカワイイ~。胴の部分の花鳥図も見事です。


牙彫・木彫 羊 石川光明 
「何か・・・・?」。私も思わず首を傾けてしまいました~^^


 
金工 蓮葉に蛙皿 正阿弥勝義
カエルが左足を葉から離し、まさに跳ぼうとする一瞬をとらえています。
うまく跳べるかな?

群れ遊ぶ蝶と薄紅の桜の細密な表現、七宝の美しい色合いが画面では充分に伝わらないのが残念です。ぜひ実物をご覧ください。
                                        七宝  桜蝶図平皿 並河靖之 
        
     七宝 花鳥図花瓶 並河靖之


金工 群鶏図香炉 正阿弥勝義
鶏の群れが、とても力強く立体感があり、動きだすかように精細に表現されています。鶏の羽の表現も見事です。
展示室4 中央特設ケース  牙彫・木彫 安藤緑山
野菜シリーズ  パセリ、とうもろこし等々。パイナップル、柿もおいしそうでした♪

展示室2 
牙彫・木彫 竹の子、梅  安藤緑山
スーパーリアルの極めつけがこの竹の子!
本物にしか見えません。
山下先生が「たまには本物と入れ替えてみては?」とおっしゃっていましたが、今が旬だし、アリかも・・・、と思ってしまいました(笑)。


 
自在とは自由自在に動かせるということ。この蟹と海老動くんです~(展示室では動きません、念のため)。
自在 蟹 無銘
 自在 手長海老 明珍

牙彫・木彫 法師狸 高村光雲
ちょっとはすに構えて、コート(?)を肩にかけたような狸がおしゃれです。

 
牙彫・木彫 老人二童  石川光明
兄にすがる楽しそうな弟、持ち上げようとする兄の優しさ、老人の慈愛に満ちた表情が、とても繊細に表現されています。

薩摩(やきもの) 花鳥図花瓶 錦光山
四季の花々が咲き乱れる花園、鷹や雉が遊ぶ楽園のような光景が、美しく繊細に表現されています。




日本美術に興味はあるけど、わびさびとかはちょっとね~、という方やフィギュアに興味がある方にもオススメの展覧会です。
明治の職人の技量の高さにびっくりさせられると同時に、「どうしてここまでやるの~?」と理屈抜きに楽しめます。
この展覧会をきっかけに明治工芸はさらに注目が集まるな~という気がしてます。
皆さんも会場でぜひお気に入りの1品を見つけてくださいね。
 
 

【日  程】
2014年4月19日(土)~7月13日(日)
※休館日:月曜日(4月28日、5月5日は開館)、5月7日(水)

【時  間】
10:00~17:00(会期中毎週金曜日は19:00まで) *入館は閉館の30分前まで

【会  場】
三井記念美術館

【料  金】
特別展:一般1,300円(1,100円)、大・高校生800円(700円)、中学生以下無料(カッコ内は団体)


(掲載した写真は主催者の許可をいただいて撮影したものです)
<N>



2014年4月25日金曜日

私の護衛艦レポート in YOKOSUKA(2)

(前回からの続き)
入口近くで「あしがら」のパンフレットをもらい、いよいよ乗艦。
こうやって艦橋を正面から見上げると、やはりこの大きさに圧倒される。前のセルは、対空ミサイルと対潜水艦用のアスロックミサイルを発射する垂直発射装置。

主砲の砲身がやたら長い。首が痛くなるくらい上を見上げてようやく全体をとらえることができた。

よく見ると、太平洋戦争当時の戦艦や巡洋艦、駆逐艦みたいに防水用の布(?)をつけている!

護衛艦のプラモデルを作るとき面倒なのが通行帯の塗装。
プラモデルだと甲板の色より少し濃いめのグレーで塗装するが、実際には色は同じでも梨地(滑り止めのため表面がザラザラに加工されている)になっているので、色が濃く見えるだけで色は同じグレーだ。
これからは気にしないで同じグレーで塗装しようかな。


こちらは隣の「ちょうかい」の主砲。「あしがら」とはタイプが異なり、砲身も短い。


短魚雷発射管。右舷にも3基装備されている。

対艦ミサイルは左右に3基づつある。

近くに立っていた乗組員の方に、若い女性が対艦ミサイルを指さして何か質問してた。
その女性のあと、今度は私がその乗組員の方に、下の写真の左上のアンテナのようなものをさして、「あの丸い輪が重なっているものは何ですか」と聞いたら、「あれは電波をとらえる装置です」と教えてくれたが、そのあと「いやー、みなさん専門的な質問をしてきますね」と言って笑っていた。

それにしても、このイベントに参加しているのは、意外にも若い女性が多い。
家族連れやカップルが圧倒的に多かったが、若い女性ひとりで来ていて、熱心にカメラで写真をバシバシ撮っている人を何人も見かけた。
ちょうど「あしがら」に乗艦するときには、「あしがら」のパンフレットを見ながら、「わー、イージス艦だ」と言って喜んでいた若い女性の2人組もいた。
軍艦マニアも男だけの世界ではなくなったようだ。

これは現在では使用しなくなったヘリの格納庫。

そしてヘリ甲板の右舷側にある管制室。

「あしがら」の後ろにも護衛艦。
右から「はるさめ」「あたご」、そして一般公開していた「こんごう」。


もともと訓練のために横須賀に集結したので、カレーグランプリには参加していない護衛艦も多く停泊している。
遠方には「てるづき」「あきづき」も。
対岸は米海軍基地なので、その右隣りの2隻は米海軍のイージス艦だろうか。


こちらは「いせ」。堂々たる空母の風格が感じられる。



「ちょうかい」の隣に停泊していた「くらま」。
この丸みを帯びた主砲に懐かしさを感じる。


これだけ護衛艦が集結すると壮観だ。およそ20隻は横須賀基地に集まっていただろうか。

お昼のカレーにありつけずに護衛艦めぐりをすること2時間。
おなかも空いてきたし、足も疲れてきたので、ここで会場を出て遅めのお昼を食べることにした。
カレーが品切れになることは想定していたので、どぶ板通りのネイビーバーガーの店をいくつかピックアップしておいた。ところが、どぶ板通りまで行ってみると、昼食時はとっくに過ぎているのに、どの店の前にも待つ人たちの長い行列。
これではいつになったらネイビーバーガーにありつけるかわからない。
どうしようかと思ったが、胃袋はすでにハンバーガーを受け入れる体制になっていたので、横須賀ショッパーズプラザにもどり、モスバーガーに入ることにした。
ここでも「ご注文の品ができあがるまで20分ほどかかります」と言われたが、座るところはあったので、席について友人に護衛艦の写真つきのメールを送ったりしていた。

注文したのはリッチモスチーズ。


これで胃袋も満ち足りたし、護衛艦もこれでもかというほどたくさん見ることができたので、私は心地よい潮風に吹かれながら横須賀線のホームに入っていった。〈Y〉
(この項終わり)

2014年4月20日日曜日

私の護衛艦レポート in YOKOSUKA(1)

昨日(4月19日)、横須賀で開催された「護衛艦カレー ナンバー1グランプリ in YOKOSUKA」に行ってきました。11時半に会場に着いたら「もうカレーは完売しました」とのアナウンスが聞こえましたが、目的は護衛艦を見ることだったので、特に気にしないで入場待ちの列に並びました。
それでは今回から2回に分けて「私の護衛艦レポート in YOKOSUKA」を紹介します。




40分ほど入場待ちの列に並び会場の中に入ると、今度は一般公開している護衛艦に入る長い列が見えてきた。
この日公開していたのは護衛艦「あしがら」と「こんごう」。
どちらにしようか迷ったが、定係港は佐世保でも地元神奈川県の山の名前がついている「あしがら」に乗ることにした。船体の横に掛かっていた横断幕は、葛飾北斎の「神奈川沖波裏」を背景にミサイルを持って敢然と相手に立ち向かう足柄山の金太郎。

列に並ぶこと約50分。それでも艦橋を見上げて、あらためてその大きさを実感したり、プラモデルをつくるときの参考にするためにディテールの写真を撮ったりしていたので、あまり長くは感じなかった。

「あしがら」の艦橋を見上げたところ。
母親に手をひかれていた小さい子供が「大和だ!」と言って指をさしていた。
確かに、アメリカのイージス艦は艦橋が低く、いかにも「駆逐艦」という感じなのに対して、日本のイージス艦は艦橋がやたら大きく、かつての戦艦のような堂々とした風格を感じる。
(去年6月24日の記事もご参照ください)

このときはちょうど20ミリ機関砲(艦橋前の白いドーム状のものの下に砲身がついている)のデモンストレーションを行っていたところで、グイーンという音ととも左右に動き、砲身がうなりをあげていた(もちろん弾は出ない)。


下の写真は艦首から撮ったもので、手前は乗船した「あしがら」、後ろは「ちょうかい」。
同じイージス艦でも「こんごう」型の「ちょうかい」と「あたご」型の「あしがら」ではマストの形状が異なるのがよくわかる。




「ちょうかい」はトラス構造だが、「あしがら」は塔状になっている。
これは平成24年に竣工した「あきづき」型でも採用されている最新型のマストなので、とても参考になる。
「そうか、実際にはこうなっているのか」と一人うなずく。

「こんごう」型と「あたご」型は艦尾も大きく異なっている。
「こんごう」型はヘリ用の甲板はあるが格納庫がないのに対して、「あたご」型はヘリの格納庫がある。ただし、ヘリ甲板にいた若い乗組員の方の話では、ヘリを3機搭載する「くらま」(「ちょうかい」の隣に停泊している)と常に行動を共にするので、現在では固有のヘリは搭載していないとのことで、格納庫は災害時の救援物資の輸送に役立っているとのこと。
(「くらま」は「ちょうかい」は、どちらも第2護衛隊群第2護衛隊に属している。)


参考までに現在、海上自衛隊が保有しているイージス艦は6隻で、次の2つのタイプがある。

「こんごう」型
 
  DDG-173 こんごう    平成5年3月25日竣工
  DDG-174 きりしま    平成7年3月16日竣工
  DDG-175 みょうこう     平成8年3月14日竣工
  DDG-176 ちょうかい  平成10年3月20日竣工
「あたご」型
  DDG-177 あたご    平成19年3月15日竣工 
  DDG-178 あしがら   平成20年3月13日竣工
<Y>
(次回に続く)

2014年4月16日水曜日

瀬戸内・南紀美術紀行(2)大塚国際美術館その2

平成25年12月22日(土)大塚国際美術館続き
システィーナ・ホールの隣はパドヴァのスクロヴェーニ礼堂を再現したホール。


1991年のイタリア旅行では、ちょうどクリスマスイブの12月24日にパドヴァを訪れた。
本物のスクロヴェーニ礼拝堂の中は深々と冷え込んでいたが、誰もいない空間は厳かな空気に包まれ、時がたつのも忘れてジョットのフレスコ画を一枚一枚じっくりと見ることができた。
しかし、今ではフレスコ画の保存のため、見学は完全予約制で、見学時間は15分に制限されているという。
一方、ここ大塚国際美術館のスクロヴェーニ礼拝堂は、室内は暖房完備で暖かく、時間を気にすることなくイタリア旅行の気分を味わうことができる(もちろん他にも見たい作品がたくさんあるので時間配分に気をかける必要があるが)。
さらに、この日は隣のシスティーナ・ホールから少年少女合唱団の歌声が聞こえてくるので、まるでクリスマスをイタリアですごしているかような気分になった。
もう一度現地に行ってみたいという気もするが、せわしないものいやだし、ここでも十分イタリア気分を味わうことができると思う。

こちらは空にハレーすい星が描かれている東方三博士の場面。

奥に見える建物が本物のスクロヴェーニ礼拝堂。

こちらもジョットの作品、アッシジのサン・フランチェスコ教会のフレスコ画「小鳥への説教」。

アッシジにも1991年のイタリア旅行で訪れている。アッシジは山あいの小さな街。石造りの教会や家々が夕陽に映える。


その2年後にイタリア旅行をしたときにはミラノにも行った。
もちろんレオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」で有名なサンタ・マリア・デラ・グラッツィエ教会にも行ったが、そのときはちょうど修復作業を行っている最中で、絵は遠くからしか見ることができなかった。




それでも今から考えてみると、修復作業という一大イベントがまさに行われているところとを見るという貴重な体験ができてよかったのだと思う。

大塚国際美術館には、修復前と修復後の「最後の晩餐」が再現されている。

上が修復前で、下が修復後。




個人的には、画集など見慣れているせいか、修復前の方がなじめるし、古くなっている分、緊張が走る一瞬の厳粛な雰囲気が出ているような気がしますが、みなさんはとうでしょうか?
ちなみに、現地では見学は完全予約制で、15分間の時間制限があるそうですが、ここでは時間の制限はないので、実際にじっくりと見比べてみてください。
<Y>
(次回に続く)