(ここはせせらぎが池に流れ込むところで、私が一番気に入ったポイント。水の流れる涼しげな音と蝉の声がいかにも夏らしく感じられました)
子どもの頃、お土産にもらった京都の絵葉書で庭の素晴らしさを見て以来、行きたいと思っていた苔寺。今年の夏にフィフティプラスのツアーが出ていたので、すかさず申し込みました。
(前回の待庵といい、苔寺といい、フィフティプラスは通っぽいツアーを出してくれるので、毎月のパンフレットを見るのが本当に楽しみです)
朝8時半すぎに京都駅に着いて、そこからバスで西芳寺へ。
まずは本堂に参拝者全員が集まり般若心経の読経。
続いて護摩木に筆で願い事を書いて納めるのですが、子どもの頃書道を習っていたにもかかわらずなんとも下手な字。もっと毛筆の練習をしなくては思いつつも、心を込めて書いたのだからと納得して御本尊様の前に置き、合掌。
続いて庭園の方に移動して、お寺の方から庭園の説明をいただいてから、広い園内を散策。
庭一面の苔は120種類以上あるそうです。
庭園はどこを見ても絵になります。
こちらは少庵堂茶室。
池も絵になってます。
鎮守堂と橋、そして右奥には小舟も。
みんなが撮っていたので、潭北亭の丸窓からパチリ。
真夏の暑さの中、襲いかかってくる蚊の攻撃を防ぎながら苔むした庭園を守る庭師さんたちも大変な重労働です。素晴らしい庭園を楽しませていただきありがとうございました。
そう、今回のツアーは、鎌倉時代末期から南北朝時代にかけて京都で活躍した臨済宗の僧 夢窓疎石(1275~1351)ゆかりのお寺を訪ねる旅なのです。
西芳寺は、奈良時代に行基菩薩の開創と伝えられていますが、兵乱などで荒廃した後、歴応2年(1339年)に夢窓疎石により再建され、天龍寺は、嵯峨嵐山の地に足利尊氏が後醍醐天皇の菩提を弔うため、同じく歴応2年(1339年)に夢窓疎石を開山として開かれました。
お昼は天龍寺境内の中の龍門亭にある「篩月」で精進料理。
茄子の味噌田楽も、お麩も、豆腐も白和えも、落ち着いた客間でゆったりと味わうことができて、とても美味でした。
こういった上品な席で困るのが、大食いの私にとっては料理の量が少ないこと。
そこで賄いの方にこっそり「ご飯のおかわりできますか」と聞いたところ、笑顔で「できますよ」。
おかげでおなかいっぱいになりました。
曹源池庭園は、夢窓疎石作庭等の面影をとどめているとのことです。
後方は借景の嵐山。
等持院は足利将軍家の菩提寺で、霊光殿には歴代足利将軍(年少で病没した五代将軍・義量と、最後の将軍となった義昭とともに上洛した織田信長に追い出された第十四代・義栄を除く)と、廃仏毀釈後に石清水八幡宮から移された徳川家康の木像が安置されています。
実はこの等持院、足利将軍の木像がとても気に入っていて、来るのは3回目ですが、将軍それぞれに特徴があって、いつ見ても新たな発見があります。
たとえば、幕府の最盛期をつくった三代将軍・義満の木像はひときわ大きく、立派なあごひげをたくわえていていかにも威厳がありそうとか、失いかけた幕府の威信を高めたが、一方で気に入らない相手は誰でも処罰してしまう「万人恐怖の世」をつくった六代将軍・義教はどこか神経質そうな顔をしているとか、政治をほっぽらかしにして応仁の乱を招いた八代将軍・義政は能天気な顔をしているとか。
方丈では住職さんからお寺の由来などをおうかがいしながら、抹茶をいただきました。
庭園も緑があざやかできれいです。
正面は、政治には無頓着だったが日本文化を大事にして茶道を興じた義政好みと伝わる茶室「清漣亭」。
今年も3月の京の冬の旅に始まって、ゴールデンウィークの建仁寺、7月の待庵、8月の苔寺、11月の京都国立博物館「国宝 鳥獣戯画と高山寺」と奈良国立博物館「正倉院展」、と関西方面にはよく来ました。そのどれもが日帰りか1泊2日の短い旅でしたが、ふらりと来る、といった感覚はとても気に入っています。
来年もさっそく1月に1泊2日で京都に行きますが、やはりこの「ふらり京都旅」、当分はやめられそうもないです。<Y>