鮮やかな色使いの康熙帝(在位1661-1722)コレクション |
凝ったつくりの乾隆帝(在位1735-1795)コレクション |
上の写真のうち、中にある金魚が描かれた器が回転する一番左の青い瓶と、右から二番目の龍が描かれた冠架(皇帝の冠を架けるもの)は、2014年に東京国立博物館で開催された「台北 國立故宮博物院展」で見た記憶があるが、同じものだろうか。
器の中に金魚を描いた器が入っている。 |
皇帝の冠を架ける冠架 |
そして清朝最後の皇帝・宣統帝(在位1908-1912)のコレクション |
もともとプラモデルとか食玩とかが好きなので、玉(ぎょく)や器、書物のミニチュアを見るとほしくなってしまうほど、このミニチュアコレクションのコーナーは特に私のお気に入りの場所。
松竹が描かれた日本の蒔絵の箱も展示されていました。
次に1階の動く中国絵画のコーナーに行ってみると、今回展示されていたのは文徴明の「赤壁図」。
こちらはスクリーンに映し出された「赤壁図」。
登場人物が歩いてきたり、鶴が飛んできたり、見ていて飽きないです。
そして6時半も近づいてきたので、エレベーターで急いで3階に上がり、南院の出張から戻ってきた翠玉白菜をパチリ。
この日は土曜日だったので、9時まで開館していましたが、写真を撮れるのは6時半までなので、撮影はここでタイムアウト。
ここでおなかも空いてきたので、もう一度2階の中国絵画のコーナーに戻り、お気に入りの作品を見てから國立故宮博物院を後にしました。
士林駅前のバス停でバスを降りて、信号待ちをしていたら、私たちの喋る日本語が聞こえたのか、私たちの前で同じく信号待ちしていた高齢女性がにこにこ笑顔で後ろを振り返り、「私は台湾で日本の教育を受けました。」と話しかけてきました。
「日本語はだいぶ忘れました。」と言われていましたが、学校時代の校長先生や担任の先生の名前をはっきりと覚えていて、最後に「お話できてよかった。」と笑顔でお別れのあいさつをされました。
今回の台湾旅行の前に、これだけ何回も台湾にいくのだから、少しは台湾の勉強でもしなくては、と思い、中公新書の『台湾』(伊藤潔著)を買って、行く前や行きの飛行機の中で読んでいました。
その中に、
「・・・植民地統治下の台湾では、日本人官吏や警察官と比べて、概して教師は使命感が強く、
人格的にも優れ、敬愛と信頼を集めていた。
今日の台湾人年配者に多く見られる親日感情は、これら日本人教師に負うところ大である。」
(同書P117-118)
とありましたが、士林駅前での日本の教育を受けた高齢女性との短い会話を通じて、まさにこのことを実感しました。日本統治下に台湾で教育にあたった教師のみなさんに感謝です。
夕食は、以前にも入った士林駅前の台湾素食の店で。
「日本のどこから来たの。」
「横浜から。」
「横浜には大きな中華街があるね。」
「でも素食の店はないんですよ。」
「そうか。」
店のご主人とのこういった会話が日本語で成り立ってしまうところが台湾のいいところ。
今回宿泊したのは、台北市街の北の丘の上にそびえる、あの有名な圓山大飯店。
安いツアーだったので、窓に面していない「インサイドルーム」でしたが、部屋は広く、浴室もきれいで、トイレも海外では珍しくウォシュレット!
もちろん朝食も豪華で、バラエティに富んだ料理が楽しめるバイキング。
二泊三日とはいえ、初日は午後便、三日目も午後すぐの便なので、実質一日だけの日程でしたが、午前中は圓山大飯店の丘を降りて圓山駅から歩いて7~8分の保安宮と台北孔廟に行ってきました。
医学の神様「保生大帝」を祀った保安宮。
こちらはその前殿。両側の柱に巻き付く龍や、門扉の獅子はじめ、彫刻がとても鮮やかです。
こちらは正殿。地元の人たちがお参りに来られてました。私たちも無病息災を願ってお参りしました。
こちらは後殿です。一つひとつの祠に神様が祀られていて、その前には色とりどりのお供え物が供えられていました。
後殿 |
こちらでは係の人たちがまるで祇園祭の山鉾のような飾り付けをした山車を組み立てていました。
年一回、保生大帝の生誕日(旧暦の3月15日)を記念して街を練り歩くための練習をこれからするとのことです。
続いて入ったのが保安宮に隣接する台北孔廟。
保安宮と比べて人も少なく、ひっそりとしていましたが、とても趣きのある建物です。
孔子の業績を紹介する資料コーナーもあって興味深かったのですが、そろそろ昼も近づいてきたので、また今度来ることにして台北孔廟を後にしました。
孔子のゆるキャラもいました。
それでも台北だと、成田から3時間ちょいのフライトでたどり着いてしまうほどの気軽さがとても心地よいです。
台北國立故宮博物院は、特に中国絵画のコーナーの展示替えが年に何回かあるので、これからも目が離せません。
きっとまた近いうちに台北に行きたくなるでしょう。
(「ふたたび台北・國立故宮博物院」おわり)