この日は朝の8時にホテルを出発して無錫市南の蠡湖(れいこ)に浮かぶ小さな島、西施庄へ。
ここは春秋時代の紀元前5世紀ころ、越国の范蠡(はんれい)が絶世の美女・西施(せいし)と隠居したことで有名なところ。
湖の北端にある船着き場から遊覧船に乗って15分ほどゆったり湖の上を進んで西施庄に上陸すると、端正な姿の西施さんがお出迎えしてくれる。
これが私たちの乗った遊覧船。遊覧船というより屋形船のようだが、これはこれでなかなか渋く、風情があっていい。
こちらは運転席。乗り物に乗ると、ついつい子どものように一番前に来てしまう。
私たちが中国語でない言葉をしゃべっていたので、きっと「どこから来たのか」と聞いてきたのだろうが、中国語はまったくできないので何を言っているかわかならい。
こちらもにこにこしているだけ。
次に中国に来るときまでには、まじめに中国語を勉強してカタコトぐらいはしゃべれるようにしよう、と心に誓った。
(しかし、忙しさにかまけて、4か月たってもだいぶ前に買ったCD付きの中国語テキストはまだ本棚の中で眠っている。7月には台北故宮、9月には北京の故宮に行くつもりなので、それまでにはどうにかしなくては、と心は焦るばかりだ)
西施庄の中は回遊式になっていて、建物も橋も遊歩道も、どれも整備されているので、歩いていて気持ちがいい。
メインの建物から見た中庭。
雰囲気が沖縄に似ているというか、沖縄が似せていると言った方がいいのか。
なんとなく沖縄に来たような感じがする。
こちらは池の反対側から見たところ。
まるで回廊のような「陶寶橋」。
船のような形をした「浪琴舫」。
范蠡と西施は人目を避けるように生活をしていたため実際に船に乗って湖に出ることはできなかった。そこで船形の建物を作り、この中で夕涼みなどをしながら船に乗っている雰囲気を味わったという。
これらの建物はもちろん紀元前5世紀から残っているものではなく、復元されたもの。
それでも、こうやって実物があると当時の様子をうかがい知ることができる。
それにしても、紀元前5世紀というと日本では縄文時代後期。
人々は竪穴住居にすんで狩猟や漁労、木の実の採取で食べ物を得ていた時代だ。
そんなときにすでに中国では諸侯が乱立し、鉄農具の使用が始まり、青銅貨幣が流通していた。
やっぱり中国の歴史は奥が深い。
ふたたび船着き場に戻り、私たちの乗ったバスが待っている駐車場まで歩いた。船着き場の周辺は公園になっていて遊園地もあり、観覧車もある。
まるで横浜みなとみらいのコスモワールドのようだ。
こちらは「北極世界」。
入口に厚手のジャケットがハンガーにかかっている。
これを着て北極の寒さを体験するのだが、これは気候が温暖な上海だからこそ成り立つアトラクションだろう。
さて、次は無錫市街地を通り抜けて北に向かい、古い街並みが広い範囲で残っている清名橋へ。
(次回に続く)
〈Y〉