この日の最初の観光は魯迅紀念館。
広場舞で賑やかな魯迅公園を通り抜けて行くと白い壁の建物が見えてくる。
館内に入ってすぐのロビーではたばこを吸いながらくつろいでいる魯迅先生がお出迎え。
2階の展示室に入ってすぐに目につくのが、魯迅の代表作「阿Q正伝」のジオラマ。
この小説の舞台となったのは、清朝が滅びて中華民国が成立する辛亥革命(1911年)の前後の中国江南地方・紹興近くの小さな村。
日傭いの仕事をしていた阿Qは、虫けらのように村の有力者たちや村人たちに殴られ、虐げられていた。そんな日々の続いたある日、阿Qの住んでいる村にも革命党が来るとのうわさが広がり、阿Qはこれで自分の時代がやって来ると思い上機嫌になった。
しかし、それもつかの間、阿Qは村の有力者と結託した革命党によって盗賊の濡れ衣を着せられ、あえなく処刑されてしまう。
魯迅はこの作品で当時の中国人の奴隷根性を描いたとされているが、身に覚えのない罪で有罪となり処刑される物語といえば、フランツ・カフカの「審判」を思い浮かべる。
どちらも悲劇的な結末を迎える阿Qと「審判」の主人公、ヨーゼフ・K。
ほぼ同時代に生きた魯迅(1881-1936)とカフカ(1883-1924)は、お互いの影響を受けることはなかったが、両者ともこれから訪れる不穏な世の中を敏感に感じとっていたのだろうか。
こちらは上海で若い芸術家たちと語る魯迅の蝋人形。
上海にあって、魯迅を庇護した内山書店の再現もある。
魯迅が上海に移り住んだ時代の上海の写真も展示されている。
文豪広場に立つ、威風堂々としたゲーテ像。
このあと私たち一行は、豫園商場で昼食を食べてから、バスで杭州に向かった。
豫園商場 |