2018年1月7日日曜日

台北・國立故宮博物院(2/2)

あけましておめでとうございます。
昨年一年間、ご愛読ありがとうございました。
今年も海外の旅行記や街歩きの記録を掲載していきたいと考えていますので、よろしくお願いいたします。

今回は昨年11月に行った台北・國立故宮博物院の後編を紹介します。

平成29年11月15日(水)

二日目も開館とほぼ同時に故宮博物院に入ったが、それでも国宝級の作品が集まっているだけあってすでにかなりの混雑ぶり。
これからはさらに人が多くなることが想像できたので、とりあえず人気のありそうな王羲之《遠宦帖》(作品番号35)と徽宗《文会図》(作品番号37)を先に見ることにした。


徽宗《文会図》の見どころは、画幅上端両側に徽宗皇帝と、徽宗に仕え、北宋滅亡の原因をつくったとされる宰相・蔡京の題跋が並んでいるところ。
1階の撮影コーナーに展示されている
徽宗《文会図》(複製)


王羲之《遠宦帖》(部分)
1階撮影コーナーのパネルより

この2つの作品の前には特に人が多かった。
台湾の人たちだけでなく、中国の国宝展ということで大陸からも多くの人たちが見に来ていたようであるが、やはり王羲之と徽宗は漢民族の心の拠りどころなのだろうか。

興味深かったのは明や清の時代の画家たちに大きな影響を与えた元末四大家の倪瓚や王蒙の作品の前には人があまりいなかったこと。
おかげで大好きな倪瓚の《江亭山色》(作品番号22)をゆっくりみることができた。
こちらは倪瓚の親友、張雨の描いた《題倪瓚像》(作品番号21)。題賛で張雨は倪瓚について「不真面目で傲慢、一切を好き放題にしている。」と書いている。親友が言うのだから本当なのだろうか。
張雨《題倪瓚図》(部分)
1階撮影コーナーのパネルより

1階の記念撮影コーナーには4点の複製画が展示されていた。
3点はすでに紹介したので、もう1点を。
明四大家の一人、仇英の《秋江待渡》(作品番号31)も空気感があっていい。


1階の撮影コーナーに展示されている
仇英《秋江待渡》(複製)



清初六大家(四王呉惲)の一人、王翬の《夏山烟雨図》(作品番号32)は筆のかすれ感がよかった。

王翬《夏山烟雨図》(部分)
1階撮影コーナーのパネルより


展示作品は前期のみ9点、後期のみ11点、前期後期ともが25点、合計で45点だけ展示であったが、名品ばかりでとても見応えがあった。
今回の「特別展 国宝の誕生-故宮書画精華ー」の展示作品は撮影禁止なので、全部の画像を紹介できないのは残念。
他の作品はぜひとも公式サイトでご覧いただきたい。

http://theme.npm.edu.tw/exh106/treasure/jp/page-2.html#main

特別展以外のコーナーは撮影可だった。
清代の作品で私好みのものがあったので少し紹介したい。

《山水》(作者不明)
李寅《秋山行旅》
さて、そろそろ帰りの飛行機の時間が気になってきた。
名残惜しい故宮博物院を後にして、バスでMRT(地下鉄)の士林駅に向かい、士林駅近くの素食の店「圓通素食」でお昼を食べることにした。



ここは店の中央の台にいくつもの料理が乗っていて、皿に盛り付けて奥のレジで精算する。
お昼時とあって、テーブルはすべて埋まっていたが、出口近くには近くの勤め人とおぼしき男性が一人で座っていたので、相席をお願いした。

ザックを床に置き、料理を皿に盛ってレジに向かったら、その男性がわざわざレジの横に来て、レジの女性が言った金額を英語で教えてくれた。。
台湾に来ると街中でこういった親切な人に出会えるところがうれしい。

これで97台湾ドル(約370円)。ごはんも五穀米なのがうれしい。


故宮で中国名画を見て、台湾素食の店で美味しいお昼を食べて、心も胃袋も満足したところでMRTに乗って松山空港に向かった。

ところで、今回の旅行では、初日の空港で1回、故宮博物院の中で4回、道を聞かれたりして現地の人に中国語で声をかけられた。
もともと自分では南方系の顔をしていると自負しているので、かなり現地になじんでいるな、と嬉しかったが、何しろ中国語が話せないので、全く対応ができず、あいまいな笑みを浮かべてカタコトの中国語で「日本人です。」と言うと、「おおそうか。」と言った感じでみなさん笑いながら離れていった。
相手の方に申し訳ないことをしてしまったと思う。
次は何事もなかったように中国語で返してみたい、と思うのだが、それまでの道のりは長いだろう。せめてカタコトでも、と思い立ち、だいぶ前に買った中国語の入門書を書棚から引っ張り出してきた。
さて、次に行くときはどれだけ話すことができるだろうか。
(「台北・國立故宮博物院」終わり)

前編はこちらです。

台北・國立故宮博物院(1/2)