いきなり400年といわれてもピンとこないのですが、どうやら今年は本阿弥光悦が京都・鷹峯に芸術村を開いてから400年にあたるとのことです。
もちろん、ご承知のように「琳派」ということばは明治になって使われるようになったもので、光悦も宗達も、琳派のいわれとなった尾形光琳も、光琳に私淑した酒井抱一も、狩野派や円山派の絵師たちと違って、自分たちは「琳派」だ、と意識したり名乗ったりしたわけではありませんが、今年は琳派をテーマにした美術展があちこちの美術館で開催されるので、私も今年は「琳派400年」に便乗して琳派芸術鑑賞を楽しみたいと思っています。
さて、初日(1月10日土曜日)。
最初に行ったのは「京の冬の旅」で特別公開されている妙心寺の塔頭・衡梅院(こうばいいん)。
こちらは琳派でなく、狩野派の絵師・大岡春卜(おおおかしゅんぼく)の水墨障壁画「龍虎羅漢図」「獅子図」を拝見することができます。
室中を飾る「龍虎羅漢図」は、羅漢さんの説教をしおらしく聞いている龍と虎がとてもほほえましく感じられました。
お庭「四河一源の庭」もよく手入れがいきとどいていて、
400年前に建てられ、大正期にここに移築された茶室「長法庵」も趣があります。
公開は3月18日までです。詳しくは京都市観光協会のサイトをご参照ください。
衡梅院をあとにして、妙心寺大方丈の前を通りかかると、この日は大方丈の戸が開いていました。
法堂拝観受付の方におうかがいしたところ、今日は大方丈を無料開放しているとのこと。
さっそく仏間に入ったところ、なんと仏壇の両脇にあの山楽の「龍虎図屏風」が。
これはデジタル複製ですが、レプリカでも実際にお堂の中に展示されているとしっくりきます。
写真撮影も可、とのことなので写真もとらせていただきました。
(狩野山楽「龍虎図屏風」は1月10日から12日までの展示でした。紹介がおそくなってすみません)
いつ見てもこの龍虎対決は迫力があります。
ここまでは狩野派でしたが、次は琳派の租・俵屋宗達です。
昼食後に行ったのが西陣織会館。
1月7日の朝日新聞に、宗達の「風神雷神図屏風」を西陣織の伝統技法を使って7年がかりで再現したものを6日から西陣織会館で一般公開している、との記事があったので行ってみました。
会館に着いたのが2時10分過ぎ。
受付の女性(もちろん着物姿)から「2時15分から1階ステージできものショーが始まるのでぜひどうぞ」と教えていただいたので、着物にはうとい私ですが、せっかくの機会なので拝見することにしました。
1階ステージの看板も「琳派400年記念きものショー」
あでやかな振袖も、しっとり落ち着いた色の着物も、どれもきれいで、見る人の目を楽しませてくれました。
このあとは3階ホールに展示されている「風神雷神」。
写真撮影不可で、みなさんにその素晴らしい織物をお見せできないのは残念です。
展示は1月17日(土)までなのでお見逃しなく。
詳しくは西陣織会館のサイトをご覧ください。
この日の最後は相国寺・承天閣美術館「花鳥画展」(~3月22日)。
長谷川等伯の「竹林猿猴図屏風」には2010年に開催された等伯展以来5年ぶりにお目にかかることができました。やっぱり等伯は存在感あります。
相国寺をあとにしてバスで東大路通りを下っていると、八坂神社の門の前に赤いのぼりがいくつもならび、いつに増して多くの参拝者が門の中に入るのが見えました。
なんだろうと思い祇園のバス停で降りてみると、この日は「十日ゑびす」の日。
祇園ゑべっさんの前に列ができていたので私も並び、ゑびすさんにお参り。
「商売繁盛で笹もってこい。祇園のゑびすに笹もってこい」
翌11日(日)は、琳派コレクションが中心の黎明教会資料研修室、「千總460年の歴史展」が開催されている京都文化博物館、そして最後は京都国立博物館の常設展と、美術館をはしごしてさすがに足も頭も疲れましたが、どれも素晴らしい作品を見ることができ、満ち足りた気分で帰路につきました。
これは京都文化博物館のおみやげ。次回特別展「京を描く」の割引引換券です。
折り目どおりに折ると、はい卓上洛中洛外図屏風(歴博乙本)のできあがり。
妙心寺大方丈の「龍虎図屏風」といい、西陣織会館のきものショーといい、十日ゑびすといい、全くの偶然でいいものにめぐり会えるのも1300年の都・京都のおもしろさ。
やはり今年も京都通いはやめられません。
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