渋滞で到着が遅くなったら上海博物館での自由時間が削られるのでは、と心配していたが、バスは順調に上海市内に入っていった。
ようやくたどり着いた上海博物館の正門
もとはといえば、東京国立博物館の東洋館リニューアル記念で開催された特別展「上海博物館~中国絵画の至宝」(平成25年10月1日~11月24日)を見に行って上海博物館の中国絵画のコレクションの豊富さに驚いて、もっともっと中国絵画を見たいというのが上海行きを思い立ったきっかけだった。
喜び勇んで館内に入ったが、与えられた時間はわずか60分。
とても全部を見ている時間はないので、中国絵画のコーナーだけに絞ることにした。
それでも唐から南宋、元、明と続いて清までの水墨画がずらりと並んでいるのだから、時間は全く足りなかった。
ありがたいことに、上海博物館は館内撮影が許可されている。
これはと思う作品の写真を撮ろうと思ったが、どれも素晴らしくて、どの作品も写真を撮りたくなって困ってしまうくらいだった。
「中国歴代絵画館」と表示されていた部屋に入るとすぐ右手には唐代の絵画が一点展示されていた。
かなり黒ずんでいたので写真に撮っても厳しいかなと思い、アップで写真は撮らなかったが、唐代の絵が残っているというのはすごい。
正面の展示に目を転じると、これは五代時期(907年の唐滅亡から979年の宋の全国統一までの時代)の絵巻。董源(とうげん ?~962年)の「夏山図巻」。
董源「夏山図巻」
説明書きに、「董源は南方山水画派の祖」とあるとおり、董源は後世の山水画に大きな影響を及ぼした。
(説明書きは中国語表記ですが、便宜上、日本語表記に変換しています。以下同じです)
よく見ると湖上に浮かぶ舟と人。こういう優雅さが山水画の魅力。
次は南宋時代の画帳。
どれもいい絵ばかりで、ミニチュアでもいいからこういった画帳がほしくなってしまう。
元代に入ってすぐに展示されているのは趙孟頫(ちょうもうふ 1254-1322)。
これはなつかしい!
東博で見た元末四大家の一人、倪瓚(げいさん 1301-74)の「漁荘秋霽図軸」。
こちらは同じく元末四大家の一人、呉鎮(1280-1354)の「漁夫図巻」。
遠くで見るとよくわからないが、アップにしてみると真剣ながらどことなくユーモラスな漁師さんたちの表情がよく見えてくる。
元までじっくり見ていたらだいぶ時間が経ってしまった。
まだ明と清の絵画が残っている。急がなくては。
(次回に続く)