2015年11月28日土曜日

中国江南・上海紀行(8)上海博物館続き

平成26年12月29日(月)上海博物館続き

明代(1368-1644年)のコーナーに移って最初に目についたのが、雪舟が明に渡った時の師であった宮廷画家・李在(りざい ?~1431年)の「琴高乗鯉図軸」。
これも東京国立博物館の上海博物館展で見た作品なので、とても懐かしい。
(ちょうど空を飛んでいる鯉のところに照明が入ってしまい、見づらくてすみません。)


続いて呉偉(ごい 1459-1508年)「松萌小憩図軸」(左)、辺景昭(へんけいしょう 生没年は不明だが説明書きには永楽年間(1403-1424年)に武英殿に招かれた、とある)「春禽花木図軸」(右)、


そして、呂紀(りょき 1477-?年)「双雉図軸」、と主に宮廷で活躍した画家たちの作品が並ぶ。

次に出てくるのが、呉派文人画の代表格、沈周(しんしゅう 1427-1509年)「倣大痴山水図軸」。



沈周の弟子で、やはり呉派を代表する文徴明(ぶんちょうめい 1470-1559年)の作品は見当たらなかったが、文徴明に習った銭穀(せんこく 1508-?年)「停舟閑眺図軸」も素晴らしい。
説明書きには「この作品は1578年、71歳の時に制作された」とある。

さらに明末に活躍した菫其昌(とうきしょう 1555-1636年)「嵐影川光図巻」。

趙左(ちょうさ 生没年不明)「山郷雲覆図軸」。説明書きには「この作品は1619年に製作された」とあるので、まさに明末ぎりぎりの作品。


清代(1616(北京に遷都したのは1644)-1912年)に入ると、山の形はいきなりこうなる。
梅清(ばいせい 1623-1697年)「敬亭霽色図軸」。


一方で、今までの中国絵画とは少しタッチの違うほのぼの系もある。
呉慶雲(ごけいうん ?-1910年)「渓山夕照図軸」。
このような穏やかな作品が、列強に攻められて混乱していた清の末期に描かれたのだから驚きだ。

1時間という限られた時間で、とてもじっくり作品を見る時間はなかったが、こうやって駆け足でも唐から清までの中国絵画の歴史を勉強することができるのだから、やっぱり上海博物館はすごい。
「もう一度、いや、展示替えもあるので何回も来なくては」と心に決めて上海博物館を後にした。
(次回に続く)